20年の3月にファーストソロアルバム『宮本、独歩。』を発表したところまでは良かったんですけど、ソロ初となるはずだったコンサートツアーは、新型コロナウイルスに阻まれてしまいました。
かくなるうえは自粛生活でもできることをしようと、インスタグラムに「うた動画」をアップしたり、弾き語り配信ライブを行ったり……。苦肉の策ではあったけど、あれはあれで楽しかった。
その一方で、昭和の歌謡曲を1日に最低1曲はカバーして録音することを自分に課していました。ソロ活動当初からカバーアルバムを制作することを決めていて、どの歌にするかという宿題を抱えていたからなんですけど。
とにかく150曲くらい歌った中から女性歌手の歌ばかり12曲を厳選して、11月に発表したのが初のカバーアルバム『ROMANCE』でした。チャート1位になった時は嬉しかったぁ。なにしろ歌手人生初の1番だったもんですから。
その流れを受け、21年の誕生日に事実上のファーストソロコンサートを開催した時の高揚感といったらなかった。ハイテンションのまま10月にフルアルバム『縦横無尽』を発売して、全47都道府県ツアーをスタート。でも前半はコロナの感染予防対策として入場者制限をしていたんですね。
それだけに、感染予防対策が緩和された22年の6月、国立代々木競技場第一体育館でツアーファイナルを迎えられた時は感無量で。緊張なのか感激したのかわかんないけど、私、1曲目から泣いちゃったんですよ。2万人のお客さんに見守られて歌いながら、現実とは思えなかった。ステージに立っていることが奇跡だと思いました。