昭和の女性歌手の名曲に新たな生命を吹き込んだカバーアルバム『ROMANCE』で注目を集めた宮本浩次さん。昨秋リリースした2作目の『秋の日に』では、さらにさまざまな女心を歌い上げた。歌い手としての並々ならぬ意気込みを語る――(撮影=小林ばく 構成=丸山あかね ヘアメイク=茅根裕己(Cirque))
大人っぽいライブがしたかった
11月に発表したカバーアルバム『秋の日に』に収録している、中森明菜さんの大ヒット曲「飾りじゃないのよ 涙は」を歌番組などで披露したところ、想像以上の反響をいただき望外の喜びを感じています。
そもそも、ロックバンド・エレファントカシマシのボーカルかつフロントマンとして、時に過激に走り続けていた私がソロ活動を開始したのは、2019年のことでした。肩書は2つになっても宮本浩次は一人なので、どんなふうに差別化していけばいいのか、ファンのみんなに受け入れてもらえるのかと、一抹の不安を抱いたのを覚えています。
それでも、エレカシの時とは違う、「絶叫しない宮本浩次」も知ってほしいという気持ちを抑えられず、小規模でもいいというか、むしろコンパクトな会場で大人っぽいライブができたらいいなと思っていたんです。
実際、誕生日を迎えた6月12日に、1000人くらいのキャパの会場で弾き語りライブをやりました。ところが、期せずして東京スカパラダイスオーケストラや椎名林檎さんの作品に参加するという機会に恵まれたこともあって、ビックリするほどの速さで私のソロ活動が広く認識されたというか、つまり追い風に乗っちゃったわけです。(笑)