私の病院探しに明け暮れた日々はなんだったのか。私には後見人さんと息子さんが神様のように思えた(写真提供:photo AC)

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しばらくして再度、地域包括支援センターに相談に行った結果、母と兄は介護認定を受け、母にはヘルパーさんが来て、兄はデイサービスに行くようになった。

兄が腹部大動脈瘤の手術を断ってから3年後、兄は統合失調症に認知症が加わり病状が悪くなりK精神科病院に入院した。

入院前に地域包括支援センターの所長から、兄に後見人をつけることを薦められた。兄は私の言うことに反発するので、後見人をつけることに決め、医療や福祉の分野に詳しく、介護の経験も豊富な女性が後見人に決まった。

入院からしばらくして、K精神科病院から会社に電話があった。

「検査をしたところ、お兄さんの腹部大動脈瘤が大きくなっていて危険です。今、あちこちの病院に手術を頼んでいますが、断られています。最悪の事態も覚悟してください」とのことだった。

私はすぐに後見人さんに電話をした。

すると後見人さんは、「私がお兄様を説得します。そして知っている病院に頼んで、手術をしてもらいます。あなたは会社で仕事をしていて下さい。入院のサインがいる時は呼びますから」と言うのだ。

そしてしばらくすると、後見人さんから「明日の朝9時にW病院の受付にいてください。お兄様をお連れします。手術はできますよ」と電話があった。

次の日、W病院で待っていると、兄と後見人さん、そして入院のための荷物を持った後見人さんの息子さんが現れた。

私の病院探しに明け暮れた日々はなんだったのか。私には後見人さんと息子さんが神様のように思えた。