時事問題から身のまわりのこと、『婦人公論』本誌記事への感想など、愛読者からのお手紙を紹介する「読者のひろば」。たくさんの記事が掲載される婦人公論のなかでも、人気の高いコーナーの一つです。今回ご紹介するのは千葉県の70代主婦の方からのお便り。ガラケーのサービス終了のために、とうとうスマホに替えることになったけれど――。
ガラケーからスマホへ
持っていたガラケーが使えなくなるというので、スマホに替えることに。スマホの機能が多彩すぎて使いこなせないのは目に見えていたが、持っていないと肩身が狭い気もして、グズグズ迷い悩んだ。
近所の奥さんに訊いてみたところ、「何かあったら困るのでスマホを買った」と言う。それ、それ、そこなのだ。夫も同じことを言う。でも、その「何か」とはどんなことなんだろう。年をとり、不測の事態に備えるということだろうか。不安をあおる脅しのようにも感じたが、結局、何かの安心を買う保険代わりだと思うことにして購入。
当初、夫にアレコレと使い方を教わったが、あまり使わないのでいっこうに覚えない。私の日常生活はスマホから見事にかけ離れている。電話はかかってこないし、私からかけることもない。スマホで写真も撮らない。情報はテレビ、本、新聞で十分足りている。これ以上増えると、活字過多になり頭がパンクしそう。ネットでの買い物は夫に任せている。
その夫が言う。「おまえは動いてナンボの人。ジッとしてスマホに向き合うタイプではない」と……。確かに的を射ている。道に迷ったら人に聞いちゃえ、と思うほうだし。毎日、車や原付バイクを乗り回す。考える前に体が動く。