20年ほど中高年の取材を続けてわかったこと
私は、ここ20年ほど中高年の会社員を中心に取材を続けてきました。その間の世間の大きな変化の一つは、第二、第三の人生があると誰もが気づき始めたこと。定年後にも長い人生が待っているという認識が、ここ数年で一気に広がったのです。
65歳時点の平均余命は、男性で20年、女性で25年あります。年齢でいうと、平均で各々85歳、90歳まで生きる計算になります。
寿命は今後も延びると予想されているので、まさに人生100年時代の到来です。団塊の世代が70代半ばになったことも、第二、第三の人生を考えることの重要性に拍車をかけているのでしょう。
現在、高齢期の生活については、食事や栄養にも留意して適度な運動を行うといった身体的な健康維持に重点が置かれています。また若さを保つことが強調されて、老いることを食い止めるアンチエイジングの対応もよく取り上げられます。そこでは、できるだけ長く生きることが目標になっています。
それも大事ですが、私はむしろ延ばしてきた寿命の中身をどのように充実させるかに注力すべきだと思うのです。身体的な健康や見た目を若返らせることが目標になると、どうしても老いることを軽視しがちになります。