できるだけ「今」を楽しんだ方が幸せ

彼が母親の介護を通して学んだこと。それは、70代以降の人生は、死ぬことや最期の迎え方を考えるのはなるべく遠ざけて、できるだけ「今」を楽しんだ方が幸せだということでした。

『75歳からの生き方ノート』(著:楠木新/小学館)

彼は今、趣味として取り組んできた音楽の練習を仲間と一緒にするのが楽しくて、特に他愛もない話を語り合えることが一番だといいます。

70代になって、自分の好きなことに取り組む「オタク」の大切さがわかってきたとも語っていました。音楽のレベルは別として、昔の仲間との会話や、新たに加入したグループで演奏会に向けて一緒に練習する機会が何より心地よいそうです。

「若い時には、グダグダした会議や打ち合わせには全く興味がなかったが、その変化に自分も驚いている」と、彼は語ります。

現役時代の時間を無駄にしない仕事ぶりを知っている私からすると、意外な発言です。彼の姿を見て、人は70代にもなれば、楽しいことをして好きに生きるべきだとあらためて感じました。