その後も2回ほどカンパを依頼されて支払ったが、状況がつかめないこともあり、「今回は何匹手術したの? 1匹あたりの代金はいくらなの?」とねてみた。

すると、「知り合いの獣医師さんだから安くしてくれるの」とだけ言い、そそくさと帰ってしまう始末。さすがに不審に思ったが、老後の友人の一人と考えると、少しくらい我慢せねばと自分に言い聞かせた。

しかし近所の人から、「Aさんが新しく飼い始めたという猫は、実はずいぶん前から自宅に連れてきて面倒を見ていたようで、『避妊も済ませたし、今後の心配もなくなった』と喜んでいた」と聞かされ、自分の飼い猫の手術費まで私のカンパから賄うとは、と再度裏切られた思いがした。

その頃、家の近くにかわいい三毛猫が姿を見せ始めた。太っていて毛並みもよく、洋猫とのミックスのようで、てっきり飼い猫が遊びに来ていると思っていた。しかし日が経つにつれ、毛は汚れ、痩せてきたため、捨て猫と判明。

かわいそうに感じたが、わが家では12年近く飼った元ノラ猫を病気で亡くしたばかりだったため、すぐに飼う気にはなれず、縁側に来たときだけ、少しばかりのエサを与えることにした。いつも猫は、エサを食べ終わるとどこかに消えてしまうのだった。