「同情するなら金をくれ!」

その切実な、怒りにも似た気持ちを凝縮したのが、すずが叫ぶ「同情するなら金をくれ!」だった。

いわば可愛い子役の代表だった安達祐実が、このセリフを叫ぶインパクトは絶大なものだった。それゆえ、流行語にもなった。

『子役のテレビ史 早熟と無垢と光と影』(著:太田省一/星海社)

このドラマを企画した脚本家・野島伸司ならではのこれでもかと悲惨さを強調する設定の妙もあっただろう。

また、美空ひばりがかつて映画で演じた戦災孤児が終戦直後の混乱を背景にしていたように、安達祐実演じるすずの逆境がバブル崩壊後の平成という時代的不安を反映していたということもあったかもしれない。

その結果、『家なき子』は大反響を呼び、社会現象となった。視聴率も、平均世帯視聴率24.7%、最高世帯視聴率37.2%を記録。

この人気を受けて制作された続編『家なき子2』(日本テレビ系、1995年放送)も、同じく大ヒットとなった。