仕事の現場こそが居場所
ただそれゆえ、安達祐実も壁にぶつかった時期があった。そこにあったのはやはり、子役からいかに脱皮するか、ということだった。
子役時代の安達祐実は、学校では有名スターであるがゆえのいじめを受けたりもしたが、仕事面ではあまり苦労を感じなかった。むしろ仕事の現場こそが居場所になっていた。
安達自身、こう振り返る。
「小さい頃は、みんながうまいって言ってくれるから、ああ、これでいいんだったいう感じはいつもあって、(中略)視聴率が毎週上がっていくにつれて、スタッフの人の雰囲気とかもよくなってきて、それが自分にとってすごく面白くて、じゃあ来週も、って意気込んでやったりとかしてた」(天願大介『女優以前、以後。』、177頁)。
子役時代は、自分のなかでの評価よりも周囲の評価が満足度の基準になっていたことがうかがえる。
周囲の期待に応えようとしていたという意味では子どもらしくない大人だが、俳優としての自分の将来については意識していなかった点では子どもだったとも言える。