子役そのものの自立

後藤久美子や宮沢りえのような道は、時代とシンクロする幸運を必要とする。

ただしそれは自分の意思だけではどうにもならないことであり、それに恵まれることはまれなことだろう。多くの子役にとって、そのような生きかたは参考にはならない。

それに比べれば、安達祐実が示した道はお手本になるものだった。

子役の役柄の定番だった幸福な家庭の無邪気な子どもではなく、天涯孤独とも言える状況でたくましく生きる子どもという対極の役柄を演じ、テレビ史に残る成功を収めた。

もちろんそれも簡単に演じられるものではない。演技力も必要だろう。だが、そのような役柄が子役にも可能であることを安達祐実は証明した。

『家なき子』は、子役そのものの自立、大人の俳優に依存しない自立した子役の誕生を記す画期的な作品だった。