天海祐希さんとのエピソード
2つ目の理由は、伊藤さんが子役時代に出演していた『女王の教室』(日本テレビ系)で、主演の天海祐希さんとのエピソードを知ったときでした。
2005年に放送された同作で、伊藤さんは生徒役の1人でした。クラスのいじめっ子役を好演し、私のようなドラマ好きで端っこまで見るのが好きな人には強く印象に残ったものですが、メインの子役は、志田未来さんや福田麻由子さん。しかも伊藤さんはクラスの“ビジュアルグループ”と対立することの多い役柄でもありました。
その作品の撮影中、天海さんからスタジオの“前室”よりもさらに一つ手前の部屋に「沙莉」と呼び出されたという伊藤さん。天海さんはストーリーと役柄を考え、カメラが回っていないところでも、あえて生徒役と距離を置き、ずっと怖いイメージを保っていらしたといいますから、伊藤さんはこのとき「確実に怒られる」という覚悟で付いていったのだとも聞きました。
しかし、そこで天海さんが伊藤さんに告げたのは、「カメラが自分に向いていないときでも、注目されるようなシーンじゃなくても、必ずあなたは気を抜かずにお芝居をしている。ちゃんとやるべきことをやって、気を抜かない、手を抜かないっていうのはとても大事で、そうやってあなたが今のままでいてくれれば誰かが見つけてくれるし、誰かが認めてくれるから、ずっとそのままでいて、変わらないでね」と。
この言葉を宝物として、伊藤さんは大好きなお芝居を頑張り続けたのだといいます。
宝塚時代も、天海さんは感じたことや間違っていると思ったことなどをストレートに言葉で伝える方だったと聞きます。特に後輩の皆さんには、天海さんからの珠玉の言葉がたくさんあるのではないでしょうか。思ったことは、ちゃんと伝える。やっぱり大事なことなのですね。