「ひよっこが虎になった」


伊藤さんを好きになった理由、3つ目も朝ドラに絡んでいます。伊藤さんにとって、曰く「朝ドラ恐怖症がなくなった」作品が、前回出演の『ひよっこ』です。

お米屋さんの娘、米子を好演したことが世に広まり、そこから伊藤さんのお仕事が順調に回りはじめたのは業界の常識。実は米子の役は元々脚本にはなかったといいます。

ですが、オーディションのとき、審査側で立ち会っていた脚本家の岡田惠和さんの目に留まったのが伊藤さん。私の“岡田惠和さん愛”はまた何かの機会に書かせていただくとして、そのオーディションで、伊藤さんは金髪だったのだそうです。それは当時演じていたヤンキーっぽい役のせいで、しかも、それが少し放置されて、いわゆる“プリン”(頭のてっぺんには黒い地毛、そこから下は金髪のままである様子をそう呼ぶ)になっていたそうなのです。

そんな髪で、“上品な言葉遣いの友達”という役どころとして用意された“お嬢様言葉”の台詞をあのハスキーボイスで放った伊藤さんを「その様がおもしろい」とキャストの1人に抜擢したのが岡田さんだったというワケです。

今年の5月4日で伊藤沙莉さんは29歳になります。そして今年は芸歴20年目。お兄さんであるオズワルドの伊藤俊介さんは『虎に翼』のヒロインに妹が決まった際、「早起きできそうですわ」「ひよっこが虎になった」と喜びました。

 

ずっとファンだった私も嬉しいです。そして改めて、人は誰かの言葉に背中を押され、勇気づけられながら生きて行くのだということを伊藤沙莉さんのエピソードにより改めて知りました。私ももっともっと言葉や会話を大切にしていきます。