予算がないからロケで鍛えるという「伝統」

しかし、テレ東には幸か不幸かお金がありません。ではどうするか? で、ロケVTRに命をかけることにしたわけです。

ロケはスタッフだけで行けますから、さほどお金はかかりません。だったらロケをがんばろうじゃないか! ということです。その結果、テレ東に、ある“伝統”が生まれました。新人の局員をいったん必ずロケで徹底的に鍛えるのです。

『腐ったテレビに誰がした?「中の人」による検証と考察』(著:鎮目博道/光文社)

「局の新入社員たち」は、「ロケが巧みな」制作会社のベテランから、まずは基本を叩き込まれることになります。

「面白くない」とやり直しを命じられ、何度も何度も追加撮影をさせられて、ようやく先輩たちのOKが出ます。そして編集も徹底的に叩き込まれます。

こうして、制作会社のベテランからノウハウを吸収した若手の局員たちはいずれプロデューサーになります。彼らは、いつの間にか「ロケと現場の厳しさ」を人一倍知り抜くプロに育っているのです。