「鎌田、あんまりIQ高くないぞ」

いままでの経験や思い込みなどで、非合理的な判断をしてしまう「認知バイアス」。

自分でも気がつかないうちに、これにとらわれていることがあります。

ぼくは小学校のとき、担任の先生から「鎌田、あんまりIQ高くないぞ」と言われました。先生がどんなつもりでそう言ったのかわかりません。

ぼくは学級委員をしていて、ガリ勉タイプではないけれど、やればできる子だと思われていたので、先生にとっても予想外の結果だったのかもしれません。

鎌田先生「人間は自分のことさえ正しく評価できないのです。だから、自分は優秀だ、いや優秀じゃないなどと振り回される必要はないのです」(2018年7月撮影。写真:本社写真部)

けれど、ぼくはなんとなく受け入れられました。学年を見渡せば、自分よりできる人間がたくさんいたからです。とくに都立の進学校に入ってからは、圧倒的に能力が上の人たちがいることに気がつきました。

はじめての英語のテストは450人いる学年でビリでした。100点満点中11点。

その答案用紙を、ぼくは学年トップ10の隣に貼り出しました。自分で自分をさらしものにしたのです。気持ちがすっと軽くなりました。