イラスト:小林マキ
歳を重ねるにつれて、体を動かすたびに関節に違和感や痛みを覚えるようになるもの。そのままにしておくと日々の生活がままならなくなる恐れもあり、早めの対策が欠かせません。関節痛が起こるメカニズムやケア方法を専門家に伺いました。
(イラスト/小林マキ 取材・文・構成/岩田正恵《インパクト》 デザイン/米山和子《プッシュ》)

骨と筋肉の衰えがひざと股関節を直撃

朝、起き抜けに体を動かそうとすると、ひざにこわばりを感じる。歩き始めたときに、ひざが重くて動かしにくい。しゃがむのがしんどい。そんな症状に心当たりはありませんか?

「これはひざ関節や股関節の軟骨がすり減っているサインです。違和感程度でおさまっている間は生活に支障はありませんが、そのまま放置すると、将来、歩けなくなるおそれがあります」と警鐘を鳴らすのは、戸田整形外科リウマチ科クリニックの戸田佳孝先生です。

「主な原因は、女性ホルモンの減少による、軟骨を支える骨の密度の低下です。関節は、骨と骨が直接ぶつかり合わないよう、先端が軟骨で覆われていて、かつ半月板が間に挟まっていることでなめらかに動きます。ところが、骨密度が下がると骨の形がゆがみ、軟骨同士や軟骨と半月板とがぶつかり合っていびつにすり減るため、動かしにくく、ひっかかりやすくなるのです」(戸田先生。以下同)

コロナ下での運動不足による筋肉量の低下も問題、と戸田先生。

「ひざを曲げるときには太ももの裏にある大腿二頭筋などを、伸ばすときには前にある大腿四頭筋を使いますが、とくに衰えやすいのが大腿四頭筋です」

大腿四頭筋は体重を支える役割も担っているため、衰えるとひざに負荷がかかりO脚気味になって、ひざの内側の軟骨がすり減りやすくなるそう。