「よくわからない力・N」

医療の現場に立っていた頃は、数えきれないほどのドラマチックな場面を目撃しました。

『駆け込み寺の庵主さん――心のモヤモヤ「供養」します』(著:松山 照紀/双葉社)

危篤に陥った方が目の前で生き返ったこともありましたし、余命3ヶ月の宣告を受けたのに、10年以上も元気で暮らしているがん患者さんにもお会いしたことがあります。

私自身も胸の大病をした折、一時は医師も家族も最期を覚悟するほど悪化したにもかかわらず、どういうわけか復活。今、尼僧としてここ不徹寺で生きながらえております。

医療を超えた「何か」の働きかけは、やはりある。

そうとしか思えないのです。

大学の理工学部で宇宙にロケットを飛ばす研究をしている学生さんから、興味深い話を聞きました。

どんなに緻密にロケット本体を設計し、推進力などを計算し尽くしても、最終的な打ち上げは、どうしても導き出せない「何か」──その名も「よくわからない力・N」が作用しないかぎり、決して無事に成功させられないんだそうです。

理系方面には明るくないので、ざっくりした説明で恐縮なのですが、この話になんだかとても納得したんですよね。

理屈ではなく、「感じ取る」もの。これこそ、宇宙の大いなるエネルギーではないか、って。