「相手軸」に立って「そういうことなら仕方がないかもしれない」と相手を理解することは、許すことに通じています(写真提供:岡野さん)
令和3年に内閣府男女共同参画局が作成したデータによると、令和元年の離婚件数は1960年代と比較して大幅に増加しており、近年では、年間60万件の婚姻件数に対し、離婚件数は21万件とのこと。離婚する人が増える中で、3万8000人以上の夫婦の問題に携わった夫婦問題研究家の岡野あつこさんは、「離婚しないですむのならそれに越したことはない」と言います。今回は、夫婦がすれ違ってしまう原因と対策についてご紹介します。

すべての秘訣は「相手軸」で発想すること

パートナーの気持ちがわからないという人がいます。それぞれの事情がありますので一概にはいえませんが、私のところに来る相談者にかぎっていえば、わからないのではなく、理解する気がないというケースが多いのです。

たいていの場合、 “かわいそうな自分”のことで頭がいっぱいで、相手のことは二の次になっているのですが、これは本末転倒。相手の気持ちを理解することから始めなければ、問題解決の糸口が見つかりません。

では、どうやって理解するのかといえば、相手のいまの状況、仕事の環境、性格、ときに生い立ちに至るまで考慮して想像力を働かせること。つまり「相手軸」に立って考えるということです。

心ないと思う言葉を投げかけられたとしても、相手のバックボーンを理解していれば、「だから彼(彼女)はこういったのか」といった具合に腑に落ちるはず。

あるとき、夫婦の関係性を修復したいと訪ねてきたAさんは、夫のためにと考えてすることが、ことごとく裏目に出てしまう。相性が悪いのではないかと悩んでいました。

たとえばLINEで「今日の夕飯は何がいい?」と尋ねても「何でもいい」と短い返事が返ってくるばかり。

Aさんとしては彼の食べたいものを作ってあげたいというやさしい気持ちでしたことなので、帰宅した夫に「あれはないんじゃない?」と訴えたところ、「仕事中にくだらない連絡をしてくるなよ」と怒られてしまったと。けっきょくのところ「ごめんなさい」と反省を強いられてしまったと不本意な様子でした。