お年寄りの引きこもり
昔はまだ世話をする孫がいたからよかった、とも言える。
現代は核家族化が進み、同居している孫もいないからとくに世話を焼くなどの仕事もなく、何の趣味もないから、一日中、テレビを観て家の中でぼーっと過ごしているお年寄りは、少なくはない。これは非常にまずい状況である。
若いころは好奇心が強かろうと弱かろうと、日々の仕事があるわけだし、それだけで人生をぼんやり過ごすことにはならない。
ところが定年後の世代になると、意識して好奇心を刺激しておかないと、外出する機会もどんどん減っていく。世間では話題にならないが、これは若者の「引きこもり」と何ら変わらない。
昨今、問題になっている若者の引きこもりより、はるかに実数として多いはずだ。はっきりした数字のデータはないけれども、買い物でしか外に出ないという人は非常に多い。
これは若者なら病的な引きこもりだと指摘される状態だ。
こうしたお年寄りの引きこもりは、仕事をリタイアした60代から年齢を重ねるごとに目立って増えているはずだ。私の印象では20〜40パーセントが引きこもりやその予備軍で、80代ともなると50パーセント以上が引きこもっているのではないかとすら思える。