感情の老化予防ツールがたくさんある時代

先日、朝日新聞の読者投稿欄に、九一歳でパソコンのホームページ作成を始めた女性の話が掲載されていた。

九一歳の今も、とくに体に悪いところはなく、一〇〇歳まで生きるような気がするが、いつまで外出できるのかわからないので、今のうちからホームページを作って、そこで友達を増やそう、という話で、深く感動を覚えた。

こんなに若々しい、「超」高齢者もいるのだ。おそらく四〇代、五〇代でも、この九一歳の女性よりも、前頭葉が老け込んでいる人はたくさんいるはずだ。

インターネットの時代である今、「感情の老化予防ツール」はたくさんある。

たとえば日記形式で文字を書いていくだけで、自分のホームページが簡単に作れて、写真も一緒に公開できるブログは、一昔前、猛烈な勢いで開設者が増加した。

約九〇〇万人が開設したとも言われ、その中には大評判を呼んでテレビドラマにもなった『鬼嫁日記』のようなものもあった。となると、妻のことを腹立たしく感じている人なら『もっとすごい鬼嫁日記』を書くという方法もあるかもしれない。

以前であれば、自己表現として小説やエッセイを書いても、まず発表の機会はなかったが、ブログならプロもアマチュアも関係ない。面白ければ、ネットの読者の支持を集めて、やがて本として出版されるというのは、今もひとつの定番コースとなっている。

もちろん、日々の生活をスマホで記録して、かつそれを面白く読んでもらうには、かなりの工夫が必要だ。だが、それ故に奥深く面白いともいえる。

もし、そのために通勤や散歩のコースを変えたり、常に被写体を探す目で周囲に注意を払っていたとすれば、それも脳への良い刺激になっていることは間違いない。