和田先生曰く、「感情の老化」を防ぐためには「ツール」を使って早くから準備を始めておくのが大切だそうで――(写真提供:Photo AC)
厚生労働省が発表した「簡易生命表(令和3年)」によると、男性の平均寿命は81.47年、女性の平均寿命は87.57年(2022年度)で、いずれも40年前からは9歳程度伸びたことに。一方、高齢者、老年医学を専門とする精神科医である和田秀樹先生によると、人間の本質的な老化のスタートとは「感情の老化」であって、その意味では「ツール」を使い、早くから準備を始めておくのが大切だそうで――。

40代からは「親密な友人」を

サラリーマンだった人が退職後、急に老け込んでしまうのは、それまで毎日のように会っていた同僚が突然いなくなって、人間関係が失われてしまうことが大きい。つまり、何かにつけ、話しかけたり誘ったりする相手がいなくなってしまうのだ。

奥さんと親密な関係を保てている人ならまだいいが、子育ても終わり、会話もほとんどなくなっている状態になると、一日中、ほとんどしゃべらなくなってしまうこともある。

そんなとき、友人の存在は欠かせない。しかし、四〇代、五〇代でも仕事関係と学生時代の友人以外に、友人がたくさんいるという人は、そう多くはない。

年を取る前に、仕事関係以外で、新しい友人関係を築いておくことが大切なのだ。その際、四〇代からは、誰からも好かれることを目標にするよりは、数は少なくとも、何かにつけ相談したり遊んだりできるような親密な友人がいたほうがいい。

そのためには、プライベートな場で、自分の取り柄は何か、仕事以外の土俵で勝負できるのは何なのかを、見つめ直しておくことが必要だ。

「麻雀なら誰にも負けない」「カラオケならプロ顔負け」など、どんなことでもいい。それが豊かな人間関係を作っていくために大きな力になる。