2年前、夫や実家との関係に悩んでいた人が思い切って指宿に1ヵ月半ほど滞在したことがありました。すっかり元気を取り戻して自宅に帰っていったのですが、彼女が今年、指宿で開催されているフルマラソンに参加したんです。しかも初挑戦で見事完走!

決してアクティブなタイプではなかったのに、今いる環境から距離を置き、自分を制限してきたものから解放されると、人はここまで変わるのかと驚きました。

実は22年の夏から、東京の私のマンションを、友人である自立した女性2人とシェアする生活を実験的に始めています。人生100年時代ですから、いつかは一人になるかもしれません。指宿での経験を通して、血縁・地縁ではない人ともつながっておくことが何より大事だと強く思うようになったのです。

今は、東京にもそういう場所を作るためのトライアル期間。日中はみんな仕事があるから出たり入ったり。時間が合えば一緒に食事をすることもありますが、お互いに依存せず、上手に助け合うにはどうしたらいいかを試行錯誤しているところです。

私は来年70歳になりますが、「もう年だから」とは思いません。年を重ねたら人にお世話されるもの、という思い込みは捨てたほうがいい。生きるエネルギーは、「自分は何かの役に立っている」という自己効力感から生まれるはず。だからこそ、年齢に関係なく誰もが必要とされる機会を作りたいと思っています。

ライフステージに合わせて住み処や暮らし方を柔軟に変えながら、どんどん自由になっていく。そんな実験を、私はこれからも続けていくつもりです。