「現場の人」だった秀吉
信長、秀吉、家康。このうち、中世研究者に一番人気があるのは、たぶん秀吉です。
極端な研究者は「信長は中世的な、古い大名だ。本質は前代の権勢者、三好長慶と変わらない」と評します。この場合、戦国時代に終止符を打ったのは秀吉だ、となるのです。
ぼくはこの意見には反対で、やはり信長は天才である。彼の事業を継承したのが「アイデアマン」秀吉で、秀吉の卓越した施策により、日本は1つにまとまった、と考えています。
それはともかく。ぼくは著書などでは、秀吉を「現場の人」だと書いています。
農民の子である彼は、体系的な教育を受ける生まれ育ちではなかった。彼は現場で、有用な知識と知恵を身につけた。
つまり、自分で自分を教育した。そこが信長・家康とは根本的に違います。
また信長・家康は、仮に苦労はしたにせよ、生まれながらに他人に頭を下げられる環境にあった。秀吉はずっと、他人に頭を下げて生きてきた。この差は大きいだろうなあ。