ドラマの中で存在感を高めつつある秀吉。本郷先生曰く、家康とは決定的な違いがあるそうで――。写真は大阪城豊國神社の秀吉像(写真提供:Photo AC)

松本潤さん演じる徳川家康がいかに戦国の世を生き抜き、天下統一を成し遂げたのかを古沢良太さんの脚本で巧みに描くNHK大河ドラマ『どうする家康』(総合、日曜午後8時ほか)。第14話では、信長(岡田准一さん)とともに臨んだ朝倉義景との戦いが描かれました。浅井長政(大貫勇輔さん)が信長の陣へ迫る中、長政の妻・お市(北川景子さん)の心中を察した侍女・阿月(伊東蒼さん)は謀反を知らせるために金ヶ崎へ走り――といった話が展開しました。

一方、歴史研究者で東大史料編纂所教授・本郷和人先生が気になるあのシーンをプレイバック、解説するのが本連載。第33回は「秀吉と家康の違い」について。この連載を読めばドラマがさらに楽しくなること間違いなし!

秀吉と家康

前回の主役が阿月だったのは間違いありません。

阿月は浅井長政の妻・お市の方の侍女。一晩で十里(約40キロ)以上をボロボロになりながら駆け抜け、「お引き候へ」というお市の言葉を家康へ伝えると、そのまま息絶えてしまいました。

史実よりドラマ、といった回だったと思いますが、その解説はなかなか歴史研究者泣かせです。研究者とは言え、ドラマはドラマとして楽しみたいものですしね。

史実寄りの話に目を向けると、ムロツヨシさんの怪演もあって、秀吉と家康の人間関係があらためてクローズアップされたように思います。今回はそのことについてお話ししましょう。