高齢者の方に向けたプログラムを作りたかった

結果、いろんな出会いがあってプロとしてダンスで食べていけるようになり、TRFの結成20周年のときにエクササイズDVD『EZ DO DANCERCIZE』を出したんですね。TRFの曲に合わせてオリジナルのダンス・エクササイズができるプログラムをファンの方への感謝の気持ちを込めて作ったんです。初の試みながら思いのほか反響が大きく、「一般の方も、もしかしたら踊りたいんじゃないか」と感じたこと、もともと高齢者の方に向けたプログラムを作りたいと思っていたことをきっかけに、健康寿命を延ばす「ダレデモダンス」を考案しました。

高齢者の方がダンスをする場合、何が体にいいのかと、手探りで調べ始めて。その結果、誰かの慣習が必要だと思っているうち…なんだ、いとこに医者がいるじゃないか、とタッグを組みました。地元の夏祭りで、市民の方も一緒に「EZ DO DANCE」を踊る企画があり、おじいちゃんやおばあちゃんも一緒に踊ったことがあったんです。その様子をいとこの医者が見ていて、ステージが終わった後に僕のところに来て、リハビリにダンスが有効じゃないかと思ったらしく、そういったダンスができないかと相談されて。僕は高齢者の方のプログラムを作りたいから、一緒にやることにしました。

ダレデモダンスを指導中のSAMさん(撮影◎Yasuyuki Matsutani)

彼の病院で65歳以上の方を20人ぐらい集めてもらって、ダンスのワークショップを始めたんです。彼は循環器専門医なので、患者さんはみなさん心臓に疾患を持っている方。次第に高齢者の方についてもより理解が深まって、動きについてもデータが取れるようになってきて。病院なので、医師のほか理学療法士の方もいますし、このステップは転倒しやすいから危ない、このステップは体のどの部分に効きますということも教わりながら、しっかりとエビデンスの取れたプログラムを作っていきました。

年齢を重ねていくことで、足が弱っていくと、体全体も弱ってしまうんですよね。そうなると、外出しなくなって、さらには脳も弱ってくる。高齢者の方に向けてのダンスということで、まずは転倒防止に配慮しながら、最初は足のステップを中心に作っていって。ラジオ体操やボーリング、ちょっと家の掃除をするぐらいの運動強度でできるものにしました。ラジオ体操って、まじめに第2までやると、結構大変なんですよ。この頃から、高齢者の方も安心して取り組めるダンスについて、常に考えるようになりました。

ディスコネスでダンスのポイントを解説するSAMさん(写真提供◎ティップネス)