父親の言葉が響いて自分の中で誓った

僕はディスコが好きすぎて、地元の小さいディスコでアルバイトをするため、一度家出をしたこともありました。2週間ぐらいで父親に連れ戻されるんですが(笑)。そのとき、父親から「何がやりたいんだ?」と言われて「自由になりたい」と言ったんですよ。すると、「高校生だから、お前はまだ無理だ」と言われて、「じゃあどうすればいい?」と聞いたら、「居場所を伝えてちゃんと学校に行けば、好きにしていい」と言われて、「やった!」と。(笑)

それからは、約束を守りましたね。家にはあまり帰らないかもしれないかわりに、「今日は誰々の家に泊まってるよ」と必ず居場所を伝えて、学校に行って、毎晩ディスコですよ。僕は家族や親戚が医者の多い家系で、自分も医学部の付属の高校に行っていたので、当初、親はショックだったようです。ただ、兄弟が多かったのと兄や弟の頭が良かったので、親もお前はまあいいや、みたいな気持ちがどこかにあったのかもしれません。自由にさせてもらえました。

父親からは「何をやってもいいから、真面目にやれ」って言われたんです。その言葉がものすごく響いて、自分の中で「ダンスを真面目にやろう」と誓って、そこからものすごく努力をするようになりました。高校生の頃は、時代的にも一生懸命やることがカッコ悪いというようなムードがあったんですが、父にそう言われた瞬間から、この思いに関しては貫こうと決めましたね。

そんな生活を送るうちに、高校3年生で「ダンサーになろう」と思うようになりました。高校を卒業するときに、親に「ダンサーになりたい」と言ったら、「アメリカに留学して学校に行かなきゃダメだろう」と提案されて。でも、親には「そういうことじゃないんだよ、大丈夫だから」と言って、卒業と同時に家を出ました。それからは、アルバイトをしながら、ディスコ仲間とダンスするというライフスタイルでした。

高校3年生で「ダンサーになろう」と思うように(撮影=中島正晶)