人が山村に暮らし続けること

そんなわけで日本でも、2024年から、森林環境税が国民1人につき年額1000円、徴収されることになったが、こうした対策は、都市化と乱開発のもとに山の荒廃を放置してきた両国の、いわば最終手段である。

人が山村に暮らし続けること。

林業や農業といった森に手をかけるなりわいが存続していく。

そのことが、水や酸素の供給を、森や川に依存している、都市住民の暮らしの存続にも不可欠なのである。

※本稿は、『世界中から人が押し寄せる小さな村~新時代の観光の哲学』(光文社)の一部を再編集したものです。


世界中から人が押し寄せる小さな村~新時代の観光の哲学』(著:島村菜津/光文社)

煤だらけの壁、テレビも冷蔵庫も電話もない、インスタ映えとは無縁の料理――なぜ人を魅了するのか? これからの観光の最重要ワードであり、廃村・空き家問題の救世主となりうる「アルベルゴ・ディフーゾ(分散型の宿)」。その哲学と実践を、イタリアと日本での豊富な取材を基に、徹底的に掘り下げる。