「俺はもう、出ていく」
内心、「あれ?このあいだ言ったことは伝わっていなかったのか」と思い、でも角が立ってはいけないから、抑えながらも、「粗挽きもいいけど、赤いのが食べたいな」と前回よりは少し強めに言ったわけです。
すると妻は、「ああ、そうなんだぁ」と言って、その日は終わります。
そして、また数日後、朝食にウインナーが出ているのを見ると、また粗挽きだったんです。
それを見たとき、「俺はもう、出ていく」と言って、席を立って、本当に出ていきました。
それが最初のケンカでした。
もう35年も前のことですから、どこに出ていったのか覚えていなかったのですが、女房が言うには、庭に出ただけだったようです。
まったく情けないことです。