高橋さん「トンビがタカを産むことはありません」と言いますが――(写真提供:Photo AC)
子育ての悩みはつきないもの。ちまたには情報があふれ、「失敗はすべて自分のせい」「あとで後悔したくない」と感じているお母さんやお父さんも多いのではないでしょうか。親にできることは、「生まれてきてくれたわが子の底力を信じて、成長していく姿を楽しみに見守ること。」と語るのは、小児科医として40年間の経験を持つ高橋孝雄さん。その高橋さん「トンビがタカを産むことはありません」と言いますが――。

「トンビがタカを産む」は、遺伝的にはありえません

海辺を歩いていると空を大きく旋回しながらえさを探しているトンビに出会います。ピーヒロロロといななく鳴き声はそれだけでのどかな情景です。

いっぽうのタカはくちばしや眼光も鋭く、鳥類のなかでも強くてしなやか。獲物をとらえたら離さない獰猛(どうもう)さがあります。トンビとタカは同じタカ科ですが、まったく別の鳥です。

それがなぜ、「トンビがタカを産む」ということわざになったのでしょう。

生まれた子どもが両親とはかけ離れた才能を持っていたり、優秀だったりすると、世間の人々は訳知り顔で「ああ、トンビがタカを産んだ」とつぶやくのです。負け惜しみなのか、「逆立ちしたってかなわない」とカブトを脱いだのか。

いずれにしても、「トンビがタカを産む」ことはありません。