希望を持つことができるのは人間だけ

今回の映画でも、いろいろな方と共演しました。木下サクラ役の山口果林さんは、いい女優さんだなと、一目置いていましたね。若い頃からたくさんいい仕事をなさっていますし、共演できてよかったです。最後のほうで桃次郎とサクラのシーンがあるんですが、それまでのシーンがしっかりと出来ているからこそ、ふたりのシーンでほっこりできるんですよね。前のシーンが駄目だったらシラけてしまうものですが、そうならないんです。

今回、生前からゲートボールがお好きだった三遊亭円楽さんが試合の解説者役として友情出演されていますが、円楽さんとは現場ではお会いしていないんです。解説のシーンと試合のシーンは別のところで撮影されたので、ご挨拶もできずじまいでした。特別出演の毒蝮三太夫さんは、特殊な登場の仕方なので、こちらもお会いできませんでしたね。

(左)三遊亭円楽さん(C)2023「それいけ!ゲートボールさくら組」製作委員会

「チームさくら組」としてゲートボールの試合で優勝を目指すメンバーですが、石倉三郎さんが演じる花田菊男は引きこもりの息子がいるなど、それぞれに事情を抱えています。日本の現実社会にある問題ともいえますが、今に始まったことじゃないですよね。そういう問題がなかった時代なんてないから、やっぱり、そこで“希望を持つ”ということ。“何事も遅すぎることはない、挽回の余地がある”ということが、救いになるんじゃないでしょうか。

桃次郎の「人生に遅すぎることなんてひとつもないよ」というセリフがあるんですが、この言葉は、希望ですよね。希望を持つことができるのは、人間だけじゃないですか? ほかの動物で希望を持っているものはいない。たとえ明日、地球が滅亡してもリンゴの樹を植える、という名言もありますよね。希望を持つことは、人間のしたたかさ、強さでもあると思います。

桃次郎の「人生に遅すぎることなんてひとつもないよ」というセリフ、これは希望。希望を持つことは、人間のしたたかさ、強さでもある(写真撮影:本社・奥西義和)