高山植物の特徴
今の人々が高山植物と言っているのは厳格な意味の高山植物でなく、すこしでも高い山に生えているものをばすぐ高山植物と言う。しかしほんとうの高山植物というのはそういうものではない。
たとえばここに高山があるとする。そうするとその一番下を山麓帯といい、その上の部分を雑木帯といい、それを上って行くと森林帯、それを上ると潅木帯に出る。その次の場所を草本帯というのである。
高山植物というのはその草本地域に生育しているものをいうので、いわゆるお花畑というのはそれを指すのである。もし許せば潅木帯のものをも高山植物と称してさしつかえないが、森林帯のものは高山植物とはいえない。
潅木帯は同じ日本でも北の方に行くにしたがって漸次山の下の方に下がりついには平地に下がってしまうものである。がんこうらんという高山植物は北海道の根室とか千島方面に行くと海岸に生えている。それは北に行くと漸次下に下がってくる。
高山植物は英語で「アルパイン・プランツ」という。これはアルプス山が高いからこの名が生まれたのだ。しかし日本などのものもやはり、「亜アルパイン・プランツ」というべきである。
高山植物はすべて長い根を持っているのがふつうである。また茎は低く高山は風が強いから根を深く張っておく必要があり、砂礫地では短い根で充分な養分が取れないから、自然長い根をもって深い底の養分を取らねばならない結果である。
また冬の間はさらに養分が取れないので根の中にそれを貯蔵しておかねばならない。そのためにも根は長くなければならぬ。