夫婦二人三脚で音楽活動をしてきたお二人(写真提供◎宇崎さん)

一緒にあちらに行けるものなら

阿木 私は相手があなたでなかったら、結婚はしていなかったかも。もしくは結婚しても上手くいかなかったと思う。もともと結婚願望がなくて、あなたに「春に結婚しよう」と言われると、「来年の秋にしましょう」ってはぐらかし、秋がきたら「来年の春にしましょう」と引き延ばしてた。それで、いよいよあなたに「教会を決めてきたよ!」って言われた時、「もうこれ以上、伸ばせないな」と思って。観念したの。それで1ヵ月後にお式を挙げた。(笑)

宇崎 そう、7年間待たされた。(笑)

阿木 当時は女性の自立が声高に叫ばれていた時代。結婚云々より、一人の人間として経済的に自立するというのが、私の中にテーマとしてあった。だから結婚はイメージできなくて。あなたは私が結婚式の前日に妹と抱き合って泣いたことに傷ついたみたいだけど、それは単なる感傷で女性はえてしていざ結婚となると、そんな気分になるものなのよ。

宇崎 特にあなたは妹と仲が良かったからね。

阿木 そうでした。でもね、今は本当にあなたに感謝しているし、お互いにお互いを育て合えたなと思ってる。よく「奥さんがダンナさんを手のひらの上で転がしている」なんて言い方をするけど、私もあなたの手のひらの上で自由に遊ばせてもらったなって。お互いに支えあってきたな、と思うもの。そういう意味で私たち依存度が高い夫婦と言えそうだけど、あなたは私の人生でなくてはならない人だし、絶対いてほしい相手よね。今は「一緒にあちらの世界に行けるものなら……」と思っています。