放置すると心不全など重篤な病のリスクも

貧血は、いますぐ命にかかわるというものではありませんが、放置すると別の病気を誘発することも。

「貧血状態で十分な酸素が運べなくなると、心臓は脈拍を上げて血液をどんどん送り出します。また心臓自身も酸素を利用するのに鉄分が必要。このため心臓に負担がかかり、心不全が起こりやすくなるのです」

また、40代以上の女性に多く発症する「むずむず脚症候群」のリスクもアップ。

「脚の内側を虫がはいずりまわるような不快感が起こる病気で、鉄欠乏が原因の一つ。貧血で眠りが浅いうえに脚の違和感が重なり、深刻な睡眠障害に陥りかねません」

鉄欠乏性貧血の予防・改善の第一歩は、自分の血液の状態を知ること。下のチェックリストで、2つ以上当てはまれば貧血の可能性があります。ためらわずに内科、もしくは貧血外来を訪ねましょう。

 

 

「まずは、貧血の原因を突き止めることが大切です。子宮筋腫などで月経過多が原因の場合は、ホルモン剤などで出血をコントロールする方法も。また、まれにですが高齢の方は、潰瘍やがんなど消化器系の病気による慢性的な出血など、重篤な病気が隠れていることもあります」

鉄欠乏性貧血の治療には、食事療法が有効です。

「鉄分豊富な食材を、意識的に摂取しましょう。ただ、鉄分は体に吸収されにくいので、効率よく吸収するための工夫が必要です。それでも改善しない、あるいは重度の貧血の場合は、医師が処方する鉄剤で鉄の補充を行います。しっかりと治療することで、日々の不調から解放され、生活の質が格段に上がるでしょう」

次ページから、毎日の食生活で効率よく鉄分を摂るコツを紹介します。