エッセイストの大塚ひかりさん(左)と歴史学者の本郷和人さん(右)(撮影:本社・奥西義和)
「女性のリーダーは少ない」「泣かないのが男らしい」など、日本では昔から当たり前だったと思われがちなイメージのなかには、時代を遡って見ていくと実はそうではないものもあるのです。大塚ひかりさんは古典文学、本郷和人さんは歴史学の視点から、日本における男女の性の真実をあぶりだします(構成=篠藤ゆり 撮影=本社・奥西義和)

物語の中から 真実を拾い集める

本郷 これまで大さんのご著書は何冊も読んでいましたが、お目にかかるのは初めてですね。

大塚 読んでいただいて、ありがとうございます。今日はお会いできるのを楽しみにして来ました。

本郷 『エロスでよみとく万葉集えろまん』『うん古典 うんこで読み解く日本の歴史』など、かなり攻めている本も出しておられるのでどんな人かと思っていたら、とても上品で……。

大塚 いやいや、とんでもない。

本郷 このたび出された『ジェンダーレスの日本史』も、すごく面白かったです。僕ら歴史研究者には絶対に拾えないことをよく調べていて、感嘆しました。

歴史研究者は、一般の人から「これってどうなんですか?」と聞かれても、歴史書や文献などで裏付けが取れていないことに関しては「実はわからないんです」としか答えられない。

ある意味、窮屈な世界に生きています。大塚さんは歴史学者じゃないからこそ、そこを果敢に切り込んでいける。