2023年5月14日、大相撲5月場所が東京・両国国技館で始まりました。横綱・照ノ富士は、4場所休場からの復帰もあって満員御礼。みどころの多い場所となりそうです。『婦人公論』愛読者で相撲をこよなく愛する「しろぼしマーサ」が今場所もテレビ観戦記を綴ります。

前回「母の日に初日を迎えた大相撲5月場所。横綱・照ノ富士が復帰、大関・貴景勝はカド番、関脇・霧馬山は大関取り。横綱・大関・4関脇は白星発進!」はこちら

照ノ富士が勝ち越し、単独トップに

大相撲夏場所は、連日満員御礼で中日8日目を終え、4場所休場して復帰した横綱・照ノ富士が勝ち越し、単独トップとなった。
7日目まで全勝だった前頭6枚目・明生と多くの観客から拍手と声援を浴びている元大関の前頭14枚目・朝乃山が、勝ち越しをかけた8日目に負けてしまった。

照ノ富士は7日目に、髪が伸びるのよりも出世の方が早くて、大銀杏が結えないカザフスタン出身の前頭5枚目・金峰山と対戦。照ノ富士は、金峰山に何もさせず、見事な上手投げで土俵に転がした。去って行く姿からは、横綱の神々しさを感じた。
8日目も照ノ富士は、前頭5枚目・琴勝峰を危なげなく押し出し、7日目と同じく真っ赤な仁王顔で、その顔を見ただけで対戦相手は勝てる気持ちがなくなりそうだ。

私はテレビの前で横綱と一緒に土俵入りをして調子を見ている。今場所の照ノ富士は、不知火型の両腕を左右に広げて下から下段、中段、上段の構えを見せるせり上がりが、力強くて、充実を感じる。そして、大相撲には「華と力」を感じる土俵入りが必要なのだと確信した。これから上位力士が照ノ富士に挑戦するので楽しみだ。
カド番の大関・貴景勝は、膝を痛めていて土俵を降りるのも大変そうだが、気持ちの強さで乗り切っているようで6勝2敗。やはり横綱や大関を長く続けている人は、逆境に負けない心を持っているのだと思った。

先場所優勝して、今場所2桁を上げれば大関昇進のライン33勝となる関脇・霧馬山は6勝2敗。大関取りの緊張のせいか強烈な強さがないのが残念。先場所優勝を逃した大関候補の関脇・大栄翔、関脇・豊昇龍、新関脇・若元春は共に6勝2敗。豊昇龍は、初日に前頭2枚目・高安が休場、7日目は前頭2枚目・遠藤が休場したため2番が不戦勝。今場所好成績なら、来場所の大関取りに向け、不戦勝は得だったと言えるのだろうか?「2勝は不戦勝だったから」と評価されないのだろうか?まだ謎だ。