素手で男の首をねじ切った女武者!?

今村 史料の話で言えば、『平家物語』には義仲の郎党である女武者・巴御前が「敵将の首を素手でねじ切った」というとんでもない描写がありますよね。

天野 あります。「首捻ぢ切つて捨ててんげり」っていうパワーワードが。

今村 以前お話ししたときに、天野さんはこの場面をどう描くか悩んでいましたよね。

天野 大変でしたね。一時期、どうしたら女性の力で男性の首をねじ切れるかってことばっかり考えていました。

今村 やばい人だ……。

天野 考えた末に、自分なりの正解に辿り着きました。作中にちゃんとこのシーンも登場していますよ。今村さんは執筆中、困ったことはなかったんですか?

今村さん著『茜唄(上)』表紙

今村 僕が何より怖かったのは、『茜唄』の連載の後に、大先輩の安部龍太郎先生が控えていたことですね。

天野 まさに「大御所」が後ろに控えていたんですね、恐ろしい。