小さな頃、夢は無限大です。宇宙飛行士にもなれるし、アイドルにも、そしてどこかの国のお姫様にもなることができます。
しかし、歳を重ねるごとに、未来の選択肢はだんだんと限定されていきます。もちろん何かをはじめるのに遅い年齢など決してありません。しかし、幼少期と同じように成長していくことは難しいし、先の時間にも限りがあるというのが現実です。
私の好きな映画の一つに『めぐりあう時間たち(The Hours)』という作品があります。時代や国籍の違う3人の中年女性の1日を描いています。ニコール・キッドマン、ジュリアン・ムーア、メリル・ストリープという世界的な名優が、主役の3人を演じた名作です。
3人はそれぞれ、周りからはしあわせそうに見えます。しかし、当の本人たちはそう思っていません。まさに「中年の危機」の渦中にいます。3人の1日が、最後に意外な形で、絡み合っていきます。人と人の人生が、時代を超えて影響を与え合っていく。そのストーリー展開は圧巻です。
終盤、メリル・ストリープ演じる女性が、自分の子に「しあわせ」について語るシーンがあります。
Remember one morning getting up at dawn, there was such a sense of possibility. You know, that feeling? And I remember thinking to myself: So, this is the beginning of happiness. This is where it starts. And of course there will always be more. It never occurred to me it wasn't the beginning. It was happiness. It was the moment. Right then.
(朝に起きたときに、ああ、私は何にでもなれる。そう思った。それは、しあわせのはじまりだと思っていたの。だけどそれこそが、しあわせそのものだった)
真の豊かさやしあわせとは何でしょうか?
20代で感じる豊かさと、30代、40代、そして50代、またその先の人生で感じる豊かさ、しあわせの意味は違います。