「チューリップ」という言葉の「青さ」が好きに
――「できることなら、歌を歌って生きてゆきたい」。財津さんが大学生のときにつくられた伝説の名曲、「私の小さな人生」の歌詞の通りの人生になりましたね。
それしかできないですからね。自分という人間は、ちゃんとした社会でやっていけないと思うんですよ。ず~っと地に足がついてない。どこにいても落ち着かない。いつも不安だし。こういう仕事でよかったと、最近、つくづく感じています。
――いやいや、ビジネスでも成功されたかもしれませんよ。でも、音楽はやはり天職だったのではないですか。改めて振り返ってみて、チューリップというバンドは、財津さんにとっても「青春」でしたか。
そうでしょうね。世の中のことをよく知らずに、狭い世界で生きてきましたから。チューリップしかなかったんです。
でも昔は、「チューリップ」というバンド名が嫌いでした。女の子のバンドと間違えられたりしましたし……。ところが最近は、なぜか嫌いじゃない。そうか!なるほど……話しているうちに気づきました。「チューリップ」という言葉の響きには、青春とか、若さとか、幼さとか、「青さ」を感じさせるものがあるでしょう。それって、このトシになったら欲しいものじゃないですか。もし売っていたら、すぐにでも買いたいみたいな。(笑)
若いときは「青さ」が嫌いだったのに、50年経って、やっとその「青さ」が好きになった。なぜかというと、失ってしまったから。そういうことだと思います。
――チューリップは、ファンのみなさんの心の中で永遠に咲く“青春の花”ですね。今日はどうもありがとうございました。