腸閉塞から大腸がんが発覚

――番組の内容は、財津さんもご存じなかった事実が次々に明かされて、かなり感動的でしたよね。ご両親の苦労話に、財津さんも涙しておられました。

僕が物心ついたときは、おふくろが食堂を経営して一家を支え、おやじは飲んだくれていた。そこからの記憶しかなかったけれど、戦争中は、おやじなりに懸命にがんばっていたのだなとわかりました。

そんなVTRを観たのだから、感動の涙を流さなきゃいけないわけですよ。僕の表情を捉えようと、カメラがずっとこちらに向いているし……。ところが、おなかが痛くて、実はそれどころじゃなかった! 自分の両親の話だし、最後には涙が出たけれど、ヘルニアの痛みをこらえて泣いていたのかもしれませんね(笑)

――当時は、ちょうどチューリップ45周年のツアー中でしたよね?

ず~っと痛いわけではないので我慢できないこともないと、だましだましツアーを続けたんです。1ヵ月以上、病院に行かなかったのですが、ある日、ネットで調べたら「放置すると死ぬ危険性がある」と書いてある。腸が壊死し、腹膜炎を起こすと。これはたいへんだと、ようやく病院に行き、ツアーが休みに入る年末に手術をしたんです。

それでひと安心と思ったら、ツアーが再開した2017年5月末、仕事で福岡に行ったときに腸閉塞になってしまった。これはほんとに痛かった!近くの救急病院に駆け込み、検査をした結果、がんが原因で腸閉塞になったのだとわかりました。「すぐに手術をしましょう。この状態で飛行機なんかに乗れば、命の保証はできませんよ」と医師に言われたのですが、それを押し切って東京に戻り、すぐに入院したんです。