人間の集中力は約3分

「孫が初めてつかまり立ちをしたんだ」
「こんなささやかな日常から幸せを感じられるってこの歳にして初めて知ったよ」

これで十分なのです。

具体的にイメージするとしたら、俳優の故・高倉健さんになったつもりで、ポツリとややはにかんだイメージで。これはなかなか効果的な手法です。

あとは、インタビューを受けるつもりでみんなの質問に答えればいいのです。

よほどリテラシーの低い人間の集まりでなければ、周りから「わあ~、いいですね。お孫さんは何カ月ですか?」「男の子?女の子?」「ママであるお嬢さんはお仕事も続けているんですか?」などなど、普通だったらさまざまな質問が飛んでくるはずです。

語り始めて、質問のひとつも出ず、周囲の相槌だけで時間が過ぎていくのならば、自分の話は歓迎されていないと心得るべし。

人間の集中力は通常約3分で切れます。

それ以上になりそうだったら、一旦話をやめて今度は聞いている人たちに何か質問を投げかけてみましょう。

「ところでY君のところのお嬢さん、そろそろ初めての誕生日じゃないか」などと。

自分が聞く立場であったならば退屈しないだろうか、あるいは他人にとって有益な情報が盛り込まれているだろうかと自らに問いかけ、そうでなければ短いフレーズで切り上げるのです。

質問が出ない長話は疎まれていると心得るべし。

常にこのことを胸に手を当てて問いかけましょう。

※本稿は、『「老けない人」ほどよく喋る』(ワニブックスPLUS新書)の一部を再編集したものです。


「老けない人」ほどよく喋る』(著:南美希子/ワニブックスPLUS新書)

元テレビ朝日アナウンサーで、話し方のプロである著者が、老けないための話し方のコツを教えます。それらのコツを押さえて実践すれば、仲間も増え、あなたの世界が広がるはず。そして、それは残りの人生を様々な病という災厄から遠ざけるだけではなく、感動や気づきのある充実した日々にするはずです。