(撮影◎中西正男)
8月7日で還暦を迎える吉本新喜劇の未知やすえさん。8月11日には還暦記念を大阪・なんばグランド花月で開催します。漫才コンビを経て、新喜劇に入り38年。2020年に間質性肺炎に罹患し今も病との付き合いは続きますが、人生の節目を前に今噛みしめる思いとは。
(取材・文・撮影◎中西正男)

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病気とずっと付き合っていく

定年のない仕事をしているのもありますし、個人的には年齢の感覚はないほうだと思っています。ただ、同級生から届く年賀状に「今年で還暦やね」と書いてあったりすることで否応なく現実を見せつけられてもいます。(笑)

ただ、今回、ありがたいことに還暦記念のイベントをさせてもらうことになりまして。そこで歌手デビューという子どもの頃からのわがままもかなえてもらいました。ずっと曲を出したいとは思っていたんですけど、このタイミングでやりたいと思えたのは、正直な話、病気があったからだと思います。

2020年に間質性肺炎と診断されました。「何か、息苦しいな…」と思って病院に行ったんですけど「すぐに入院してください」という状態でした。元気が取り柄みたいな人間がまさかそんな病気になるなんて。ただただ、そう思いました。

いろいろなパターンがある病気なんですけど、私の場合は完治はしないと聞いています。今残っている肺の機能を現状維持するしかない。リアルな話、先日、上岡龍太郎師匠の訃報でもこの病名が出ましたし、そういうことがあると何とも言えない思いになるのも事実です。ただ、自分はこの病気とずっと付き合っていくものだと思っています。