当初は、「俳優」「作家」を目指していなかった
柚月 千葉さんは、最初から俳優を志していたのですか?
千葉 いえ、大学生の時は、「映像制作関連の仕事に就きたいな」と考えていました。でも、スカウトされて事務所に入り、演技の仕事をするようになったんです。
柚月 そうなんですね。役者さんというと、「オーディションで役を勝ち取る」イメージがありますが。
千葉 役者デビュー作が、まさにそうでした。『天装戦隊ゴセイジャー』という特撮作品なんですが、戦隊もののレッドは熱血漢のキャラクターが多いのに、「なんで僕がレッドに選ばれたんだろう?」と不思議だったんです。設定を聞いたら「天使」だったので、「この見かけが活きたのか!」と納得しました(笑)。将棋でいう「大一番に勝った」ではなく、幸運なデビューだったと思います。柚月先生は、どういうきっかけで小説を書き始められたのですか?
柚月 山形市内で開催されていた文章作成講座に通っていたのですが、それは講師で来る作家さんに会いたい、という不純な動機から(笑)。月1回の講座に、実質2年ちょっと通いました。その間に、地元のタウン誌で取材をお手伝いする機会があって。インタビューだと人が話したことしか書けない。「自分が感じたことをもっと書いてみたいな」と考えて、小説を書き始めました。
千葉 最初から作家を目指していらしたわけではなかったのですね! 意外な経緯で驚きました。