鮎川さんいわく、再婚時の養育費の扱いは、ぜひ知っておきたいことの一つだそうで――(写真提供:Photo AC)
結婚した夫婦の約3組に1組が離婚する日本。また約4組に1組は、夫婦のいずれかが再婚者と、もはや結婚と離婚は切り離せない時代に。一方で家族問題を研究する鮎川潤さんによれば、「離婚などで機能不全に陥った家族と少年犯罪などは密接な関係にあり、その意味でも離婚のあり方について私たちはより知っておくべき」とのこと。その鮎川さんいわく、再婚時の養育費の扱いは、ぜひ知っておきたいことの一つだそうで――。

結婚後約一年で協議離婚した夫婦の場合

〈年齢〉元夫:二〇歳代後半 元妻:二〇歳代前半
〈職業〉元夫:派遣社員   元妻:主婦
〈子ども〉長男:一歳
〈背景〉二人は離婚し、その後、両者とも再婚(なお、子どもの年齢は二人が離婚したときのデータ)
〈経緯〉元夫から養育費の減額請求の申立

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現在、二人はそれぞれ順調に再婚生活を送っています。

まず初婚についてですが、男性、女性ともに二〇歳代前半に行われました。女性の妊娠が分かったのは二〇歳になるかならないかのときでしたが、女性が出産を望んだことと、女性の家族が二人の生活をサポートすると言ってくれたため、男性は生活力にまだ自信が持てなかったのですが結婚しました。

結婚して一カ月後に子どもが生まれ、妻は乳児の世話に専念することを望んでいたため、夫は妻子を養う生活を営みました。

夫は派遣労働で給与は少なく、仕事が残業になったり、会議が夕方から始まり、就業時間後にまで延長して行われても、妻からは赤ん坊の入浴等のために早く帰るように強く求められる職業生活を送っていました。

小遣いも月に五〇〇〇円程度で非常に少なく、自分の自由になるお金もなく、同僚との付き合いも断らざるをえない状態で、不満が高まっていきました。

妻のほうは妻で、子育てのために外へは働きに出られず、子どもと付きっ切りで息が詰まるような生活だったと言います。

生活苦と子どもの世話への協力要請から喧嘩が絶えなくなり、双方が結婚の継続は不可能だと考えるようになりました。妻からの提案によって、結婚後約一年で、協議離婚しました。