●認知症患者にみられる15の会話の特徴

 

残念ながら、現時点では認知症を根本的に治す方法は確立されていません。アルツハイマー病の治療薬として使われるアリセプトは、症状の進行を多少遅らせる効果はあるものの、すでに発症した症状を治すことはできないのです。

ですから、進行を遅らせるためには、認知症は早期発見・治療が望ましいでしょう。精神科や神経内科では、認知症が疑われる患者に対してはMRIやCTによる画像診断を行い、脳梗塞の有無、記憶の中枢である「海馬」を中心に脳が萎縮していないかを見ます。

そして診断の上で重要なのが問診。近年よく使われるのは、会話の様子から認知能力を評価する方法(上表)です。たとえば「今日は何曜日ですか?」の質問に、「何曜日かな?まあ、毎日が日曜日みたいなもんですよ」と、質問に答えず、はぐらかす。これは認知症の1つの特徴です。

もし、あなたの親や家族が認知症と診断されたら、その後の進行を食い止める最も効果的な方法は、生活を変えず、今できることを続けてもらうこと。高齢になるほど、体も脳も使わないと衰えるのが早いからです。料理や洗濯などの家事、孫のお守り、趣味、友人との交流など、できることは継続してください。それが脳を鍛えることになります。

また、物忘れや失敗に対して怒ったり否定したりせず、笑顔で接して安心させることが大切。本人にしてみれば、人から責められるとプライドが傷つき、腹も立つ。それが、暴れる、叫ぶ、家を飛び出す、といった問題行動につながります。できるだけストレスを与えず、機嫌よく過ごしてもらうことが、結局お互いにとってラクなのです。

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