過酷な制度の国
もちろん、借りたものだから返済の義務があるのは当然だろう。ただ、普通の借金ではなく、これは教育費だ。親が仕送りをしてくれ、授業料を払ってくれた人には発生しない。
他国で給付型の奨学金が充実していたり、そもそも学費が無償だったり、奨学金の救済制度があったりする。貸与型が基本、しかも利子が付き、基本的に何があっても返済しなければならず、返せなければ訴えられる。教育に関するものでここまで過酷な制度の国があるだろうか。
政府は、危機的な少子化を受けて、様々な政策を打ち出している。その中で給付型の奨学金の拡充も検討されている。これからの世代に向けた政策を考えるのは結構なことだが、その「これからの世代」を産むであろう今の若い世代はどうだろう。
給付型の奨学金制度が始まったのは2020年4月 。めっちゃ最近なのだ。しかも条件は厳しい。私の時は、非課税世帯だろうと給付型の奨学金制度は利用できなかった。というかなかった(財団などのものはあっただろうが)。
つまり、少なくとも20代後半以上の世代は、貸与型の奨学金を利用し、多額の借金を抱えながら生活している。これからの世代の教育費をいくら軽くしようが(それは絶対に必要な制度だが)、今の若い世代の背負っている奨学金をどうにかしないと問題の根本的な解決にはならないのではないだろうか。