心まで貧しくなっていく気がする

お金の心配ばかりしていると、心まで貧しくなっていく気がする。

先日、友人に映画をみにいこうと誘われた。映画代も値上がりしていて、今や2000円近くする。誘われた時、とっさに何日分の食費だろう、なんて考えてしまった自分がいて、そんな自分にぎょっとした。そんなこと考えちゃだめだ、文化的なものを大事にしないと。そう思うけれど、生きていくためには無限に働き続け、絶対に働いて支払いを全て終えてというサイクルを滞らせてはいけない。そう思うと、どうしようもない不安や恐怖に飲み込まれそうになる瞬間が、何度もやってくる。

SNS をやっていると、たまにお金についての情報が流れてくる。大抵そういう情報は「知らないと損する税金の話」「それ、損してない?お得なやりかたはコチラ」と言ったパッケージだ。実際、お金に関する情報は、調べる人、一部のリテラシーの高い人にしか届かない。私たちは必死になって、損しないように、何か制度はないものか、とお金に関する情報をかき集める。でも、一方で思う。税金など公的な制度なのに、「知らないと損する」「その情報を手にしたものだけが得をする」仕組みってなんだ。その時点でもう、制度の敗北ではないか。

この社会の制度はあまりに煩雑で、書類は難しく読解が難儀だ。例えば収入が減少した人の救済制度なども、条件に当てはまっても誰も教えてくれない。本当に困っている人には必要な制度は届かない。情報を取りこぼせば足元をすくわれる、そんな社会なのだ。もちろん最低限知っておくべき制度というのはある。でも、知らなければ数十万円単位で損をするのに、物陰にひっそりと隠れているような制度があったりする。

損しないように、損しないように…そうやって情報を捕まえようと必死になる一方で、そんな制度設計でいいのか。そんな疑問も、忘れないでいたい。

前回「ヒオカ「毒親は捨てるべき?親への感情は割り切れない。実家を出て10年、久々にボロボロの実家と年老いた両親をみて現実に引き戻され」」はこちら