老化防止とコレステロールの関係性
患者からすると、同じ検査をあちこちでやられるのは迷惑なだけだが、これが縦割り医療の実態である。
お粗末な医者になると、見るからに患者の顔色が悪いにもかかわらず、自分の専門分野の検査だけして、「あなたの胃にはポリープもがんもありません、よかったですね」などと言って、何の解決にもならないようなケースも往々にしてある。
要するに、それぞれの科の医者は自分の担当する臓器しか診ていないわけで、全身を総合的に判断するということはあまり期待できない状態なのだ。
だから、老化にしても、「動脈硬化のリスクファクターが何か」という研究はされているので、コレステロールがダメだとか、高血糖がダメだとかいうことが言われているが、これはあくまでも血管の老化に限った話。
コレステロールは、ホルモンやセロトニンなどといった神経伝達物質の材料や運搬物質にもなる。動脈硬化を防ごうとコレステロールを控えれば、たしかに血管の老化防止には役立つかもしれないが、それによって今度はホルモンや神経伝達物質が減って、体の違う部分の老化が進む可能性だってあるのだ。
全身を総合的に考えると、ある特定の臓器の老化予防が、他の老化予防に対しても役立つのかは、現代の医学ではわからない。それどころか、最近の疫学データでは、こうした臓器別の老化予防法が、じつは有害なのではないかと思わせる結果すら出ている。
●体はパーツごとに捉えても意味がない