林先生「統合失調症は、100人に1人ほどがかかる頻度の高い疾患です」(写真提供:Photo AC)
うつ病、ADHDなどの発達障害、PTSD、統合失調症、双極性障害…多くの現代人を苦しめる「心の病」は、脳のちょっとした変化から生まれます。誰にでも起こりうるこの病は、何が原因で、どのようなメカニズムで生じるのでしょうか。様々な角度から精神疾患の解明に挑むのは理化学研究所の研究者・林(高木)朗子さん。その林先生いわく「統合失調症は、100人に1人ほどがかかる頻度の高い疾患です」だそうで――。

100人に1人ほどがかかる統合失調症

私の研究室では、シナプスと精神疾患の関係、とくに統合失調症を中心に研究を進めています。

統合失調症は、100人に1人ほどがかかる頻度の高い疾患です。多くは思春期に、不安、感覚過敏、集中力の欠如などの症状とともに、統合失調症に特有の「幻覚」や「妄想」が現れはじめます。

幻覚とは実際にはないものが知覚されることで、とりわけ統合失調症の幻聴はとてもはっきりと聞こえ、周囲が不気味に思えて強い不安を抱くときに聞こえてくることが多いようです。

命令する声や悪口が聞こえたりするので、本当の声と区別ができなくなり、幻聴に基づいて行動をしてしまうこともあります。

妄想とは、明らかに間違った内容を根拠もなく信じてしまい、周りの人たちが訂正しようとしても訂正が難しい考えのことです。