コロナショックの到来

しかし、ミカドは逆だった。

震災以降、ほとんどやけくそのように毎日イベントを行うとともに、ライブ配信もするようになった結果、従来ミカドのことを知らなかった人もお店にやってくるようになり、なんとか苦境を乗り越えることができた。

その後も、冒頭に述べたようにあらゆる活動に手を広げた。それにしたがって、メディアの露出も増え、2018年2月2日にはNHK「ドキュメント72時間」で、「伝説のゲーセン 大人たちの闘い」というお店に密着した番組が放送された。

同時にこの時期は、ミカドが撮影に協力したゲーセンが舞台のアニメ「ハイスコアガール」の放映もあった。

その影響もあってか、この年ミカドは過去最高益を記録した。

未来が見えたような気がしたのもつかの間、次の事件が起きる。

コロナショックだ。

高田馬場ゲーセンミカドINオアシスプラザ外観(写真:『ゲーセン戦記-ミカド店長が見たアーケードゲームの半世紀』より)

2020年に広がった新型コロナウイルスによって世界的混乱が起き、あらゆる経済がストップしてしまう。

これにはまいった。

ミカドはイベントとインカムで回っている店だ。どちらもリアルな場に人間がいなければ、どうしようもない。かといって、休業要請に応じてもゲームセンターに支援金は出ない。

困った結果、ミカドは生き残りを懸けてゲーセン初のクラウドファンディングを実施する。目標金額は2000万円。果たしてゲームセンターを求める人たちがどのくらいいるのか。

募集期間の1ヶ月が終わってみれば、結果的に、3872人の支援によって3732万8892円という驚くべき金額が集まった。

この金額には、驚かされるとともに本当に勇気づけられた。

ところが、コロナの脅威は終わらず、続く翌年も二度目のクラファンを行うことになってしまったが、これも1206人の支援者によって1568万3833円を達成。

この二度のクラファンによって、なんとかミカドを存続させることができ、ゲームセンターがまだ世の中で愛されていることを再確認した。支援してくれた方々には、本当に感謝している。

以上のように、ミカドはあくまでレトロゲームを軸にしているが、その時々で柔軟にやれることをやってきた結果が、生き残りにつながっているのだ。