嘆きや苦しみを歌で表現した音楽

まずはスペイン。実は私は今のところ、ヨーロッパにあまりご縁がなく、スペインに行ったことはないのですが、今一番訪れたいところの一つです。そしてやはりスペインといえば「フラメンコ」その情熱的なギターと踊りは見る人を惹きつけて止みません。
先程お伝えしたとおり、私はスペインには行ったことがないのですが、叔父がフラメンコギターを趣味で演奏していてよく弾いてくれました。また、少し前になりますが世界を代表する日本人のフラメンコギタリスト沖仁さんとミラノで仕事した事があり、そこで沖仁さんのすっかりファンになった私はよく、沖さんのライブに行かせてもらったものです。なので、かなりのフラメンコ好きです!

写真提供◎AC

さて、このフラメンコ、どの様に生まれたか仔細は分かっていないとのことですが、有力な説をご紹介しましょう。18世紀ごろ、ジプシーの中のロマ族と呼ばれる家を持たない民族が暖かい気候を求めてインドからスペインのアンダルシア地方へ移動をしました。当時のアンダルシアは様々な文化や宗教が入り混じり、いろいろな民族が住んでいたそうです。しかし、スペインはキリスト教徒が多数派で、スペイン政府は少数民族であるイスラム教徒であるジプシー・ロマ族らを追放しました。そして、そのジプシー達はその後、山での生活を強いられたのです。その環境は厳しく、この上なく辛いものでした。その嘆きや苦しみを歌で表現したのが、フラメンコの起源となったといわれています。

そして、さらに、そのジプシーの音楽とアラブ系民族の音楽が融合してフラメンコの原型ができて、その後、19世紀に踊りや演奏も交えた現在のフラメンコのスタイルが完成されました。当時は家族の中などで歌い踊ったものだった様ですが、だんだんとカフェや酒場などで演奏され、現在はタブラオと呼ばれる居酒屋の様な店で演奏されていることが多いようです。

情熱的ながらダークな雰囲気の楽曲が多いフラメンコですが、その歌詞も生活苦など人生の悲哀を謳ったものが多く、ジプシー達の心の叫びとも言えるでしょう。
さて今回はあえて、日本人のフラメンコギタリストである沖仁さんのパフォーマンスをご紹介します。沖さんの演奏を観に行けたら、そこはもうスペインのタブラオ。日本にいてスペインの気分を味わえるはずです。