「歯周病」は糖尿病や認知症、骨粗しょう症などの原因にもなると言われていることをご存じでしょうか。歯周病は、人類史上もっとも感染者数の多い感染症として、2001年にギネスブックに認定されました。「歯周病は、みなさんが思っている以上にとても危険な病気です」と語るのは、歯科医師の亀井孝一朗先生。亀井先生いわく「歯周病による出血で、細菌や毒素が全身を巡る」そうで――。
歯周病の改善が、さまざまな病気を遠ざける
「歯を抜去すると関節炎が治癒することがある」
これは、2000年も前の古代ギリシアの医師・ヒポクラテスの書き残した記述とされています。
はるか古代より、医師のあいだでは歯の健康と全身疾患に関係があることはわかっていました。
それが研究によって明確になってきたのは、1980年以降のことです。
歯周病もまた、単に歯ぐきが損傷し、歯が抜けるだけの害ではありません。
動脈硬化や心筋梗塞、糖尿病、関節リウマチなどの自己免疫疾患だけでなく、アルツハイマーや新型コロナウイルスとの関係性も指摘されるなど、さまざまな全身疾患と関係していることがあきらかになっています。
日本臨床歯周病学会は、歯周病の人はそうではない人の2.8倍の確率で脳梗塞になりやすいと発表しています。
また、フィンランドで脳内の血管の壁がもろく薄くなって大きく膨らんでくる動脈瘤(どうみゃくりゅう)という病気の人の破裂した部分を調べたところ、歯周病菌をはじめ、さまざまな口のなかの細菌が検出されたといいます。